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銀土一本「サウナ」 [SS小説]

ツイッターの銀土版深夜の60分一本勝負、お題「サウナ」
久しぶりのワンライですー。
20日……みなさん、覚悟で迎えましょう(震え)

【降ってわいた休暇の使い道】
 立て込んだ事件がようやく一ふ段落した。徹夜で残務処理を追えた土方は急遽局長命令により非番となった。特に趣味を持っていない土方にとって、突然の非番はただ時間をもて余すだけだ。
 思い立ち万事屋へと電話を入れてみれば、出たのは新八で。仕事で出払ってるとそう言われ、「なにか銀さんに用事でしたか?」と言われてしまえば何でもないと返して切るしかない。仕方がなく余暇を過ごすためサウナへとやって来た。日頃の疲れを汗とともに流すのも悪くはないだろう。
(そういや、ここで……)
 まだお互い知り合いでしかなかった時に、ここで万事屋と出くわしたことをふと思い出した。
 着物の上からでも分かる筋肉は自分とほぼ同じ身長体重のくせに見事なもので。それがあの強さに結び付いているのかと思うとひどく羨ましかった。肌を伝い落ちる汗。滴る汗を拭う逞しい腕。掻き上げた髪の隙間から覗く土方を見る眼差し。
 気づけば目が離せなくて。
 否応なく視線を奪われて。
 それが悔しくて、あの時は張り合うように食って掛かってしまったのだ。
 思えばあの時にはもう、自分は恋に落ちていたのだろう。
(……のぼせそうだ)
 立ち上がると冷水を頭から被り、脱衣場へと向かう。
 頭がくらくらするのは暑い場所に長く居すぎたせいだろうか。それともあの男の肌を思い出したせいだろうか。
 思い出せば、無性に会いたくなってくる。
 その肌に掌を這わせたくなってくる。
(昼間から何を考えてんだ)
 それもこれも電話したときに居なかったあの野郎が悪い。
 どうにも収まりがつかない気分を抱えながら着替えて外に出れば、視線の先にはふわふわとした見慣れた頭がある。
「てめぇ、仕事じゃなかったのか」
「へ? 土方くん? え、あ、猫探しは終わったけど?」
「この後は?」
「猫は神楽が依頼人に渡しに行って終わったし、汗かいて一風呂しようかと」
「ってことは暇なんだな」
「うん?」
「暇なんだなっ?!」
「はいっ」
 突然逃してはなるものかとでも言うようにがっしりと腕を捕まれて、分からない状況に困惑しながらも土方の望んだ言葉が返ってくる。
「よぉーし、これからちょっと付き合えや」
 風呂に入るだけならば、いつも肌を合わせる連れ込み宿で事足りる。
 こんな風に落ち着かない気分にさせたのはこの男なのだからと。触れられたくて仕方がなくなるように仕込んだのはこの男なのだ。そう責任を転嫁して、獲物を手にした土方はニヤリと笑みを浮かべると、答えを待たずに歩き出した。

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